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Q&A
Q: 不妊症とはどういう場合をいうのでしょうか?
A:

先ほど説明しました一連の過程が、全て順調にいった場合にはじめて妊娠が成立します。逆に、一連の過程のうち一ヶ所でも問題があれば妊娠は成立しません。その問題の程度が大きければ”妊娠できない”という表現になりますし、問題の程度が小さければ”妊娠しにくい”という表現になると考えてください。不妊症とは、正常な夫婦生活があって(妊娠してもおかしくない状態でありながら)、ある一定期間を経ても生児を得られない状態のことを意味します。一定の期間とは避妊期間を除いて、1年以上とするのが一般的です。これは、子供のいる夫婦の80%は、1年以内に妊娠しているという事実に基づいています。ただし、1年以内に妊娠しない場合でも、全ての場合に原因あるいは異常があるというわけではありません。また逆に、1年以内の不妊期間でも、患者さんの状態や事情に応じて検査や治療を行うこともあります。また、不妊症の定義の内には、妊娠はされるものの、流産や死産のために生児を得られない方も含まれています。こういう場合は不育症と呼び、いわゆる不妊症(妊娠が成立しない場合)とは原因も治療法も異なります。当クリニックでは、不育症の方に対しても積極的に治療を行っています。

    
Q: 不妊症ではありませんが、せっかく妊娠しても妊娠初期や中期に何回も流産や、子宮内胎児死亡を繰り返す場合(習慣性流産)は、どんな原因が考えられるのでしょうか?
A: 昔から、すべての妊娠の約10%は流産に終っています。流産の原因には、
1. 受精卵の異常(受精卵の染色体異常など)―これが、妊娠初期流産の約半数以上を占めているといわれています。
2. 着床する子宮内膜に充分受精卵を受け入れる準備ができていない場合(炎症や黄体機能不全自己抗体など)
3. 着床場所の子宮内膜の下に子宮筋腫が発育していたり、または傷ができた後、そこが瘢痕になっている場合、子宮の奇形など
4. 母体が精神的な面も含めて健全でない場合
5. 妊娠中期流産には、子宮頸部の緊張がなく、拡張している場合(頸管無力症)など、以上の原因が考えられます。但し、1回ないし2回までの流産については、さして気にする必要はありません。恐れず次の妊娠を試みるべきです。しかしながら、3回以上流産を繰り返す場合は習慣性流産と呼び、以下のような検査を行う必要があります。
1)夫婦の染色体検査
 夫または妻のいずれにおいても、染色体に異常があれば1に示したように流産の原因になると言われています。
2)内分泌(ホルモン)異常
 妊娠しても卵巣から黄体ホルモンが充分に出てこない場合は、受精卵が着床する子宮内膜に妊娠の準備ができないために流産します。
3)子宮に器質的な異常がある場合
 以前子宮内に炎症が起き、治ったけれど子宮腔の一部に癒着がおこっている場合とか、子宮内膜のすぐ下に筋腫が発育している場合とか、子宮奇形の一種である双角子宮など、子宮の一部に形態的な異常があれば流産します。
4)妊婦さんの血液中にループスアンチコアグラント(LAC)と呼ばれるような抗リン脂質抗体(一種の自己抗体)ができている場合
 胎盤の血管内で血液が固まりやすくなり、胎児の発育不全や胎児死亡の原因になります。妊娠初期よりむしろ中期以降の胎児死亡による流産などの時は、この血液中のLACを測定する検査がぜひ必要となります。
   
Q: 習慣性流産の場合、何か治療法はあるのでしょうか?
A: 習慣性流産の治療も不妊症の治療と同じく、その患者さんの原因に応じた治療法を選択する必要があります。妊娠後、黄体ホルモンが不足する人には、注射とか飲み薬で黄体ホルモンを補います。子宮腔内に癒着のある場合は、これを子宮鏡で子宮の中を見ながら剥離します。子宮筋腫がある場合は、筋腫のみを摘出する筋腫核出術を行います。子宮の頸管が拡張している頸管無力症の方は、妊娠中に頸管をくくって、縮小する手術を行います。また抗リン脂質抗体を持つ妊婦さんの場合、血液が固まりやすくなるのを防ぐために、アスピリンやヘパリンを使用する方法があり、よい成績をあげています。

 

 

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