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不妊というのはあくまでも、その時点までに「妊娠できなかった」という結果を表している言葉にすぎません。不妊症の治療を進めてゆくために一番重要なことは、「なぜ妊娠できなかったのか」という原因を調べることにあると思われます。色々な原因がありますので、それをきちんと整理して、適切な治療法を選択する必要があります。当クリニックでは一連の検査が終了次第、検査結果を整理して、その上でその後の治療方針を患者さんに説明します。
■不妊症の治療
以下、各原因に対する治療法を説明しましょう。
●排卵障害(内分泌因子)に対して ●子宮筋腫に対して
●卵管通過障害に対して ●子宮内膜症に対して
●着床障害に対して ●種々の炎症に対して
●頚管粘液分泌不全に対して ●精子に異常がある場合
●抗精子抗体(精子不動化抗体)による
 免疫性不妊に対して
●排卵障害(内分泌因子)に対して
 検査によってごくまれですが先天性の器質障害による無排卵と診断された場合は、治療できないことがあります。器質疾患がなく機能障害によるものは、治療の対象となります。排卵時期の遅い遅発排卵や、排卵のない無排卵に対しては、排卵誘発を行います。排卵誘発には、飲み薬(クロミフェンとシクロフェニルの2種類があります)や注射薬(hMG製剤やFSH製剤)を用いる事がありますが、患者さんの排卵障害の原因や程度によって使用する薬剤は異なってきます。副作用として卵巣が腫れたり(卵巣過剰刺激症候群)、多胎妊娠(多発排卵)になったりする場合もありえます。そこで、各々の患者さんの状態に応じて、注意深く使用します。このような合併症を極力避けるために、排卵誘発剤(特に注射薬)を使用する場合は、使用しはじめてから排卵に至るまで、超音波検査を用いて卵子の含まれている卵胞や卵巣の大きさを測定したり、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)を測定したりすることによって、過剰刺激にならないよう、充分に注意した上で排卵誘発を行います。
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●卵管通過障害に対して
卵管の通過障害や卵の捕獲輸送障害が認められる場合には腹腔鏡や卵管鏡を用いた卵管形成手術を実施します。この手術療法でも妊娠困難な方や、子宮外妊娠で卵管の切除手術を受けられた方などに対して、体外受精が行われており、良好な結果が得られています。体外受精についてはこちらのページをご覧下さい。
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●着床障害に対して
 排卵したあと、卵子が入っていた卵胞は、破れて黄体に変わります。この黄体からは黄体ホルモンが分泌されて妊娠を維持していくように働きます。また黄体ホルモンは体温を上昇させる働きがありますので、排卵後基礎体温は高温相となります。この黄体の働きが不十分な場合、黄体機能不全と呼ばれ、着床障害の原因になると考えられています。従って、着床障害の治療としては黄体ホルモンを飲み薬や注射で補う方法、あるいは黄体の機能を刺激する注射(hCG)をうつ方法、および卵胞そのものを刺激してより成熟した卵が排卵するようにする方法、すなわち排卵誘発剤を使用する方法などがあります。
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●頚管粘液分泌不全に対して
頸管粘液の分泌の悪い方に対して、卵巣を刺激するホルモンを含んだ注射をすることにより、卵胞の増大を促し卵胞から分泌される卵胞ホルモンをふやし、その効果で頸管粘液の分泌を増やすことができます。ただし、それでも頸管粘液が増えなければ、人工授精(AIH)の適応となります。
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●抗精子抗体(精子不動化抗体)による免疫性不妊に対して
 体の中での精子に対する抗体産生を抑えるようにする方法(そのためにはステロイドホルモンを使用します)は、男性に対しては用いられますが、女性の場合、特に妊娠を目標とする場合は、ステロイドホルモンの卵子や受精卵に対する影響、またはステロイド治療そのものの合併症について考慮しなければなりませんので、女性の場合はこのステロイドホルモン療法が行われることは少なく、人工授精や体外受精が積極的に行われています。患者さんの体の中に含まれている精子不動化抗体の量が少なければ、人工授精でも妊娠可能ですが、抗体の量が多ければ、人工授精ではなかなか妊娠は困難で、体外受精が現在では最良の方法と考えられています。
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●子宮筋腫に対して
 筋腫が不妊や流産の原因になっていると考えられる場合は、筋腫だけをとる筋腫核出術が行われます。患者さんの年齢とか筋腫のできている場所によって、その後の妊娠率は異なりますが、手術後に妊娠される方はまれではありません。

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●子宮内膜症に対して
 子宮内膜症が不妊の原因となっていると考えられる場合や腹腔鏡検査で軽度の子宮内膜症が発見された場合、腹腔鏡検査の際、お腹の中を洗浄したり、内膜症の病変部分を減少させて治療します。その後半年以内に妊娠されるケースがあります。したがって、腹腔鏡は子宮内膜症に対して単なる検査にはとどまらず、治療にもつながっていると考えられています。腹腔鏡でも妊娠に至らず、難治性の内膜症による不妊と考えられる場合には、体外受精の適応となります。
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●種々の炎症に対して
 一般細菌による膣炎に対しては、膣洗浄と膣座薬の挿入で普通1週間くらいで治ります。細菌が子宮の頸管や内膜にまで広がった場合は、抗生物質の投与が必要となります。また最近増加傾向にあるクラミジア感染に対しては、クラミジアに特効的な抗生物質がありますので、それを服用していただきます。 
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●精子に異常がある場合

 精子の数が少ない乏精子症や精子の動きが悪い精子無力症の方は、一度泌尿器科を受診されることをお勧めします。泌尿器科の診察を受けていただくと、20%〜40%くらいの頻度で精策静脈瘤が見つかります。精巣(睾丸)に近接して静脈の袋ができていますと、精子をつくる働きが障害されます。手術により静脈瘤を治療することで、精子の数が増え、妊娠に至るケースもよくあります。精巣静脈瘤以外にも、精子の通路がふさがれている精管通過障害や、本来胎生期に陰のうの中におりてきているべき精巣(睾丸)が、ソケイ部に留まったままになっている停留精巣などが発見されることもあります。以上のように泌尿器科で明らかな以上が見つかり、治療を受けられる場合もありますが、特に原因がわからない方も多く、このような場合には薬物療法が行われますが、精子の数を薬物療法によって、劇的に増やすことは現在の医学でもなかなか困難であると言われています。そこで、原因不明の、あるいは泌尿器科での治療がうまくいかなかった乏精子症や精子無力症の方に対しては、自然のままでは、膣内に射精された精子が自力では子宮腔内になかなか入ってゆけないので、人工授精が行われます。精子の数や運動性が極めて悪い場合は、人工授精でもなかなか妊娠されないケースが多く、この場合には体外受精や顕微授精の適応となります。 

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